八重歯を治す。大臼歯後方移動のケース
ずいぶん久しぶりの矯正の更新になります。
徳島の歯科医師の友人から相談を受けました。1年前から床矯正を行っているケースです。
上の前歯4本分は何とか並べることが出来ました。もともとスペース不足だったのを横方向に拡大することでスペースを確保して並べたのです。
ところが成長とともに後方の臼歯が生え変わり永久歯になります。
最後に生えてくるのが犬歯という順番なので最後に座る席がなくなった犬歯が割を食わされてしまう形になります。これが八重歯になる典型例です。

拡大は出来たけど犬歯が入りません。模型の写真を数枚載せてみましょう。

上右側の犬歯が入らないのは誰が見ても明らかです。


これは大臼歯が前に移動しているために抜歯でもしない限り入らないのが現状です。
そこで非抜歯でやるなら低年齢のときに出来る方法として当医院で行っているのが大臼歯を後方に移動させることです。前方に移動してしまった第一大臼歯を後方へ送ります。
このケースで模型を送ってもらいましたので実際に私自身が装置を作成することが出来ましたのでご紹介しておきます。
もちろんケースとして不適な場合もありますので全てに当てはまるとは限りませんのでご了承ください。

まず外形アウトラインを設計します。アダムスのクラスプという既成のバネを用います。

↑曲げ加工しますのでマジックなどで印をつけて行きます。

↑専用のプライヤーで曲げていきます。

必要な数を左右とも作り上げていきます。

↑バネと使用予定のスクリュウの配置です。前歯に唇側線というワイヤをこれから追加していきます。

↑使うのは0.8mmワイヤです。


↑上手く唇側線も出来上がりました。再度配置を確認しこれを歯科用レジンで固めていきます。

↑ずいぶん進めています^^;
これがレジンで固まった後ですね。まだバリが沢山あってとても口の中に装着できる状態ではありません。

↑型からはずしたときはこんな感じです。ここから埋め込んだスクリュウが動くようにカットしていきます。

↑分離する角度をマジックなどで書き入れてリュウターでカットします。

↑カットも終えて研磨作業に入りました。

↑実際にスクリュウを使用したときに後方に移動するか確認をします。

↑梱包をして徳島の歯科医師の友人に返送しました。
計画としては数ヶ月の拡大を行って右側の大臼歯が前方に出ている分だけ後方に下げてやります。スペースが確保できた後犬歯を綺麗に並ばせるためにブラケット(矯正のボタン)を貼る計画です。
矯正のボタンだけで済めばいいですが、大臼歯を後方にバックさせるのはかなり大変ですので私はこの方法を使っています。
左右で同じだけ前方に移動しているときもありますが大抵右か左かのどちらかが前方に来ていることが多く、この装置はそのズレを是正する装置です。

↑これは違うケースです。この患者は左の犬歯が入らないケースです。
大臼歯(6歳臼歯)の位置を左右で見比べると左の方だけ前方位にこんなにずれています。

↑正面から

↑左の方はあの隙間に犬歯が入るはずもありませんね。

↑これが↓こうなりました。

このケースはブラケットが嫌で診療台の上で涙を流すほどの患者さん。
床矯正と根性の咬合訓練で真っ直ぐにしました。’本人のやる気’です。
ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ

まだ少しだけ私からすると不満がありますけど、親御さんともに満足されています。かみ合わせの訓練は継続してくださいね。

↓次のケースです。

↑このケースは両側性の八重歯(犬歯低位唇側転移)です。それも左右に差がありました。

↑この歯並びのお子さん、結構多いのではないでしょうか。
大概抜歯ケースです。私も許されるなら抜歯させてもらいたいです。

どうしても抜歯は嫌だということで、時間と労力は大変ですよ。とのお話の上ご納得されて

↑これが↓こうなります。

犬歯はきっちり入りました。先のケースより並びが綺麗ですよね。
このお子さんはブラケットを使わせてくれたのです。

両方のケースとも男子です。しかも二人共野球部。
根性あるぜ君たち。

もう少し歯肉炎をなんとかしないとね。うちの衛生士のお姉さんが
ブラッシングを指導しました。
こういったケースは頻繁にあります。我々のモンゴロイド系の顔の骨格の特徴の一つに、横顔が白人系に比べると短いというのが理由です。(短径顔貌)

↑今回友人から相談を受けたケースも両側性に近い右側の八重歯でした。
しかし、大臼歯がバックできれば犬歯も入るスペースができることでしょう。
あとは細やかな角度の調整はブラケットで改善することになります。


