先回はするめやサラミなど噛み応えのあるものを 「どのように噛んでいるか?」ところで終わりました。

どこで噛んでましたか?

前歯で噛んでいないとすれば、スティック状の食べ物を噛み切る場合は何処で噛んでいるかご存知でしょうか?

「手で横っ腹に持っていって、食べる。」これが常になっているお子様が多いのです。横っ腹に手で持っていって噛んでいるお子様はなぜそうしてしまうのか?
それは「楽チン」だからなのです。

顎の関節は中央をまたぐちょうつがいの関節。奥歯であればあるほど力が発生しやすい構造です。すなわち奥歯の方が噛みやすいのです。おなじ硬さのものでも前歯で噛むのと奥歯で噛むのとでは接触面積からいっても 奥歯の方が楽だもんね。

困りましたね。実はこれが小さいころからついている「悪い癖」の一つです。お父さんお母さん食事の仕方を学校で習いましたか?親から習ったりしましたか?無いと思います。だって、昔は食卓を囲んで食べていたから。教えられると言うよりも 「見ていた、もしくは真似ていた。」です。

今はどうでしょう。

残念ですが家族全員で食卓を囲むということが多くなっているとは考えにくいですね。食卓に水、お茶、ジュースなどが一緒に出してあることも多い。床矯正研究会の鈴木設矢先生によれば 、「あれはファミリーレストランなどで注文が終わったかどうかを確認するための目印でテーブルに水を置くんだ。それが普及したから。」と仰っていました。なるほど考えた物です。

食事の時に水で流し込むような咀嚼では本来噛む回数が減ると、それは毎日の食事で本当の発育刺激が加わるはずが十分に行われていないと言うこと。

食卓に水分を出さないようにしてみるのも大事ですね。水は食べる前か後で摂ればいいのですから。
さて、十分に前歯で噛めていないと言うことが解った場合、他に考えられうる事として 「奥歯ばかりで噛んでいる。」という疑いが出ました。この奥歯ばかりで噛んでいることが次に引き起こすことは何か?
私の経験上ですが、その殆どは下顎が後退していることが多いです。出っ歯になる要素が強くなります。後で噛んでばかりいますと下顎がバックしたままで前で噛めない、噛まない。そして上の前歯が実は出ていなくても出た風に見える。 相対的に「出っ歯」に見えてしまうのです。
前歯で噛んでいないってだけで叢生(乱食い歯)と上顎前突(出ッ歯)が発生する(している?)可能性があります。

前歯で噛むようにするためには?

今日からでも
お父さん、お母さんが前歯で噛んで食事をしているところを お子さんの前で見せてあげましょう。
食卓を囲んで前歯で噛むことが大事だってことを教えてあげましょうね。今回も「親御さんの協力」というキーワードが出てきましたね。

*治療の実際(乱食い歯になってしまった下あごの叢生は床矯正装置で拡大し、スペースを作り前後で挟み込む方法で治療します。他にT4Kマウスピースを使うこともあります。

この場合は上の前歯がまだ生えていないときだけに限ります。生えた場合はT4Kは終了。T4Kだけで終了できるケースは少数です。

下顎後退の場合は上下の小臼歯に生え変わるころに床矯正装置を作成、もしくは使っている装置を改造することで前噛みが出来るように改善させる装置にし、治療します。

次回、上下の歯が反対?です。